ここ数年「リノベーション」という言葉を聞く機会が増えてきました。言葉の響きから「リフォーム」と同じような印象を持っている方も多いと思いますが、実は二つには少し違いがあります。
私は仕事柄不動産業界の方々とかかわることが多いですが、大手ディベロッパーや仲介会社からリノベーション業界に転職される方も増えてきており、業界としても成長業界に当たります。
そこで今回は、自分らしい住まいを実現する上で「なぜリノベーションがおススメなのか」を解説していきます。
目次
リノベーションについて
まずは、そもそもリノベーションとは何なのかについて軽く触れておきます。すでにご存じの方は飛ばしていただいて構いません。
リノベーションとは
「リノベーション」とは、すでにある建物に対して大規模な工事を行い、今までよりもきれいにしたり、機能性を向上させたりすることを指します。
詳しく定義があるわけではないですが、自分のライフスタイルに合わせて住宅を改善し、価値をプラスするイメージで考えていただければと思います。
リフォームとの違い
一方似た言葉でリフォームというものがあります。使い分けに明確な決まりはないですが、リフォームは修繕・壁紙の張替えなどの小規模な改修を指すことが多いです。
リノベーションとの違いは、リフォームは元の状態に戻すことが多いのに比べて、リノベーションは今よりも良い状態に住居を変えていくという点が考えられます。
リノベーションのメリット
自由な設計で住みやすさを実現
家に住む人々には様々な方がいます。
ライフスタイルも家族構成もバラバラな方々が多い中で、家の形は画一的になっているのが一般的で、その住居に合わせてライフスタイルを変えるという家がありきの生活になってしまう逆転現象が起きています。そこで、現れたのがリノベーションという考え方です。
例えば、間仕切りを取り払い開放的なリビングにしたり、システムキッチンを設置したりなど、既存の住まいでは味わえない、自分だけのライフスタイルを実現することが魅力です。
選べる物件が増える
現状、新築や中古でマンション・戸建てを購入する場合、自分の希望エリアで、予算等の条件にぴったり合う物件を探すことは困難になっています。多少駅から遠くなる、家が狭くなる等の妥協をして条件をすり合わせていくことが一般的です。
しかし、リノベーションの場合、中古の戸建やマンションを購入するので、予算の条件に合わせられる確率が高くなります。
また、内装に関してはリノベーションを加えるためそこまで気にする必要がなく、エリアの条件も大きく緩和されるので、駅近重視、住みやすい環境重視などの自分の好みで選ぶこともできるようになります。
比較的コストを抑えられる
新築物件の購入と中古の購入をしてリノベーションする場合の費用を比較すると、中古を購入してリノベーションする方が、20%前後、費用を抑えられることがあります。(必ずしも下がるわけではないですし、使用する資材やタイミングによっては高くなることもあります)ですので、中古物件の価格次第ですが、新築よりも安くトータルの費用を抑えられる可能映画あります。
ちなみに価格に関しては、リノベーション会社さんともしっかり話し合い、自身の希望に応じて予算や内容を調整する必要があります。
まれに割高なものを勧められることもあるようですので、会社はいくつか見ることが望ましいといえます。
リノベーションのデメリット
ここまでメリットを述べてきましたが、もちろん一般の住宅購入に比べてデメリットとなる部分もあります。以下の点も踏まえたうえで判断をした方がよいでしょう。
築古の場合、耐震・耐風などに懸念がある
築年数の古い物件を購入してリノベーションを行おうとするときは、建築基準を満たしているかをきちんと確認する必要があります。
もしも基準が満たされていない場合は、改修の必要がありますのでよりコストがかかる可能性があります。大幅に耐震基準が変更されたタイミングもありますので、それ以前に建てられている物件には特に注意が必要です。
この辺りは専門業者さんの意見も必要になりますので、事前に確認をしてもらうとよいと思います。
住み始めるまでに時間がかかる
一般的にマンション・戸建て等を購入する場合は、完成物件や完成状況がはっきりわかる物件を見学し、契約を行うことになりますが、リノベーションの場合には、引き渡しまでに、いくつかの作業が加わるため時間がかかることになります。
また、設計のイメージなどをこだわっていくと、打ち合わせの回数や時間も増えてきますので、手間を取られることになります。
ですので、とにかく早く引っ越す必要がある、打ち合わせの時間をあまりとれない。といった場合にはあまり向かないといえます。さらに、すでにできている物件とは違いますので、完成した結果が必ずしも満足いくものになっているとは限らない点も注意が必要です。
ローン金利が高い
リノベーション済みの物件だと通常の住宅ローンを利用できますが、別途リノベーションをする場合は、住宅購入に係る住宅ローンとは別に、リフォームローンを利用する必要があります。(もちろんローンを利用する場合のみですが)
リフォームローンは住宅ローンに比べると無担保で借りられて、返済期間も短い反面、金利が高いことが多いですので、その点には注意が必要です。長期の返済で住宅ローンと同じような金利にできることもあるので、詳しくは直接銀行等にお問合せしたり、参考書も出ているので事前に学んでおいてもいいと思います。
まとめ
YouTubeやSNS・ブログでの発信にも言えることですが、単なるモノの消費ではなく、個人の価値観を実現・表現するコトが重要視される時代になってきています。
いわゆる「モノ」から「コト」へのシフトですね。そしてこの考え方は例外なくどの業界にも浸透してきておりまして、不動産業界の「リノベーション」とは、まさにそのシフトで成長してきた分野です。そして、自宅や購買物件の単なる改修ではなく、自分のスタイルを表現することができる方法として注目をされているのです。
以上の点から、もしもあなたが画一的な住宅ではなく「自分らしい住まいを実現したい」と考えるのであれば、今はとても良い時期であるといえるのです。