不動産投資においてのリスク軽減では、「収益シミュレーション」を事前に行うことが重要な要素です。
収益シミュレーションといっても「具体的な収益」を出すためには「必要経費」を正確に把握していなければいけません。
しかし、計算する際にどの程度の経費を織り込んでおけばいいものか、わからないという方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、不動産投資の「収益シミュレーションを正確に行うために最低限必要な要素」について解説をします。
収益シミュレーション計算
まずは、購入を検討している物件の価格に対して、「自己資金」をいくら使えて、「借入金」がいくらになるかという内訳を把握しておく必要があります。
なおリスクを減らすためには
借入金を極力減らすことが大切ですので、資本金はできるだけ多く準備しておくことをおすすめします。
以下の項目でも詳しく説明しますが、借入金に対する自己資本の割合(自己資本比率)が高いほどリスクへの耐性が高くなります。
稼働率と賃料シミュレーション
例えば、投資物件として、中古アパートを一棟購入したとします。部屋数は8室(4室×2階建)で家賃を10万円とすると下記の通りに想定ができます。
稼働率
|
年間収入
|
100%
|
960
|
万円
|
90%
|
864
|
万円
|
80%
|
768
|
万円
|
70%
|
672
|
万円
|
60%
|
576
|
万円
|
50%
|
480
|
万円
|
40%
|
384
|
万円
|
30%
|
288
|
万円
|
20%
|
192
|
万円
|
10%
|
96
|
万円
|
0%
|
0
|
万円
|
返済額シミュレーション
上記のアパート(部屋数は8室、家賃を10万円)で、価格は土地と建物を合わせて合計10,000万円とします。10,000万円の投資額に対して、全額借入をした場合と半分の5,000万円の借入(自己資本比率50%)をした場合で想定賃料を計算してみます。なお、ローン利率は2%で、借入期間は20年間(元利均等返済)とします。
自己資本比率
|
借入金
|
利率
|
月間返済額
|
年間返済額
|
0%
|
10,000
|
2%
|
約505,883
|
約6,070,600
|
50%
|
5,000
|
2%
|
約252,942
|
約3,035,300
|
上記の賃料シミュレーションと比べて、経費を度外視した場合、フルローン(自己資本比率0%)の場合は、稼働率が70%以上は必要。借入金が半額の場合は、稼働率40%以上であれば返済ができるということがわかります。
このようにシミュレーションができれば、一旦は稼働率がどれくらいあれば赤字にならないかという目安になります。また借入金を少なくすることで「空室リスク」に備えることができるということがわかります。
経費のシミュレーション
上述の通り、賃料と返済額のシミュレーションで大まかな収益シミュレーションはできました。しかし実際には、様々な運営上のコストがかかります。ここを計算しておかなければ、いざというときに資金ショートになりかねませんので、できるだけ細かくシミュレーションに入れておく必要があります。
管理委託手数料
不動産投資を始める際は、「共有部分の管理」、「クレーム対応」、「入居者募集」などを管理会社に任せることが多いと思います。
その際に支払う費用が「管理委託手数料」です。「管理委託手数料」は基本的に「毎月」「賃料の何%」という形で支払うことになります。
ですので、家賃が高くなれば、その分、「管理委託手数料」も高くなります。また、「管理委託手数料」は一般的に「5%程度」が相場言われています。
修繕積立金
不動産の管理では共用部(エントランス、廊下など)の修繕を定期的に行う必要があり、その修繕に係る費用も毎月のコストに含まれます。
新築の場合比較的安い場合もありますが、経年劣化と共に見直されていくものですので、最初は安かったとしても徐々に増えていくものだと覚えておくといいでしょう。
共用部の水道光熱費
専有部は家主の負担ですが、共有部の水道代金や電気代等はオーナーが支払うものです。こちらも毎月のコストになりますので事前に計算に入れておく必要があるでしょう。
団体信用保険
団信とも呼ばれる生命保険の一種ですが、マイホームを買う際にも入ることが多いと思います。被保険者(ローンを借りた人)が亡くなったり高度障害になった際に、物件のローンを代わりに支払ってくれるという保険です。
不動産投資では万一被保険者が亡くなった場合、残された方がローン返済無しで収益物件を手にできるということになります。基本的にはこの保険に加入することになると思いますので、こちらも月々のコストに入れておくべきものとなります。
まとめ
収益シミュレーションは、基本的には
「家賃収入-経費=収益」で求められます。ここで重要なのが、経費をどれだけ精度高く試算できるかです。
どこまで細分化するかは考え方次第ですが、上記の項目を最低限、押さえておくことで、ある程度精度の高いシミュレーションになると考えられます。
最近は頭金なしで不動産投資を始められるようになりましたが、その分返済額は大きくなり、「空室リスク」、「金利上昇リスク」等の影響を大きく受けることになってしまいます。不動産投資が全くの無駄になってしまうことも考えられますので、そうならないように事前のシミュレーションはできるだけ精度高く行えるように心がけましょう。
本日は以上です。
ありがとうございました。