2019年12月に令和2年の税制改正の大綱が閣議決定されました。
このなかで注目すべき点はNISA(少額投資非課税)制度の見直しについてです。
これから資産運用を始めようという方にとっては重要な変更になりますが、複雑でいまいちわからないというのが本音ではないでしょうか。
そこで本記事ではNISA制度の変更点をわかりやすく解説させていただきます。
本記事のポイント
- つみたてNISAは期間の延長
- 一般NISAは積立投資寄りの内容に変更
目次
税制改正の大綱とは
税制改正の大綱とは、翌年の税制をどう変更すべきか話し合い、その結果として取りまとめられたものを毎年12月の中旬に政府与党が発表するものです。
翌年の税制改正の方向性を定めたものですので、この時点では改正内容が確定をしているという訳ではありません。
ただし、この大綱をもとに国や地方自治体は税収見込みを立てますので、高い確率で実施されることになると考えていいでしょう。
NISA制度の変更点
それではNISA制度の変更点を「つみたてNISA」と「一般NISA」に分けて解説させていただきます。
つみたてNISAの変更点
つみたてNISAの変更点は、設定期間の延長のみです。
期間は、もともと「2037年末」までだったものが「2042年末」まで延長されることとなりました。
ただし、期間の延長のみといっても、これから資産運用をしようと検討している方にとってはありがたい変更と言えます。
なぜなら「つみたてNISA」は最長20年の非課税期間がありますが、今のままだとこの期間を最大限に活かすことができなかったのです(2020年に始めても17年間しか使えない)。
しかし、この改正によって「2022年」までに「つみたてNISA」を始めれば最長の20年間非課税を受けることができるのです。
長期の積立を目的にしている制度ですので、これから始める方も最大限に効果を活かせるのは嬉しいですね。
現行 | 改正後 | |
つみたてNISAの設定期間 | 2037年末まで | 2042年末まで |
一般NISAの変更点
まず、厳密には現行の「一般NISA」が終了した段階(2023年末)で、特定非課税累積投資契約(仮称)という「つみたてNISA」に近しい新制度が創設されます。
ですので、見直しはまだ先になるのと、今後は「一般NISA」ではなく、呼び名も変更になる可能性がありますので覚えておきましょう。
変更の内容ですが「一般NISA」の変更点は少し複雑です。
いわゆる2階建の制度となっており、
①まず5年間は低リスクな商品(投資信託など)で投資を行う。上限額は年間20万円で期間合計100万円。
②その後、5年間は株式投資(利用できない商品もあります)などリスクをかけた投資も行うことができる。上限額は年間102万円で期間合計510万円。
という内容になります。
現行のNISA利用者は②から投資することもできますが、上限額は102万円となります。
どんな意図があるのか
これらの変更にどういった意図があるのかというと、国としては継続的に長期の積立投資の促進をしたいとの考えがあります。
「一般NISA」の利用者には引き続き「新NISA(仮)」の利用をしてもらいたい、さらに、これまで投資をしてこなかった層、特に現役で働く20代から40代の世代に向けても「つみたてNISA」で投資を促したいという意図があります。
ですので、制度はとてもお得に投資ができるよう作られており、これから投資をしていきたいと考えている方は、国が推進するこの制度を利用しない手はないのです。
少し複雑だと感じるかもしれませんが、今のうちにしっかりと頭に入れておくべきでしょう。
NISA制度改正の課題
しかし、この改正には課題も残ります。
新しい仕組みが複雑なため「NISA」自体を知らない方が理解をして取り組むには、よりハードルが高くなったこと。
そして、上記で述べたような意図がそもそも伝わりづらく、なぜこんな改正が行われているのかが理解されないことが考えられます。
財務省のHP(税制改正の大綱)を見ても、この内容を読んだだけでは非常に分かりづらいと思います。
国としては、実際に改正が決まったら、投資家にとって「どういった利点があるのか」を「分かりやすく」伝えることが重要になるでしょう。
逆に、投資家からすると分かりにくいからといって利用しないのは、あり得ないほどお得な制度ですのでしっかりと覚えておくべきでしょう。
まとめ
以上のように、少し複雑な制度にはなりますが、これから投資を始めたいという方には、お得なNISA制度を是非活用いただきたいと思います。
また、NISA制度には非課税の恩恵だけでなく、商品(低リスク商品)を選ぶ際に、国が厳選した商品から選ぶことが決められていますので、リスクが抑えられるというメリットもあります。
というわけなので、度々言いますが、この制度を今のうちに覚えて早いうちに投資に踏み出しましょう。
本日は以上です。
ありがとうございました。